涼子のマンション、玄関前
「他に好きな人がいるの。」
「・・・好きな人って?
・・・好きな人って誰?」
首を子に振る涼子。
「話ってそういうことだったんだ。」
「・・・だから・・・私・・・先輩とは付き合えない。」
「・・・そっか。
・・・わかった。」
涼子の瞳から涙がこぼれる。
「何泣いてんの?」
「・・・」
「・・・じゃあ・・お休み。」
瀬名が帰っていく。
瀬名がマンションを出ると、南が車の中でたばこを吸いながら待っていた。
南を無視して立ち去る瀬名。
瀬名の歩くスピードで車を運転する南。
「帰り近道しようと想ったら道間違えちゃって、
グルグル迷って、またここ出てきちゃった。」
「・・・」
「プロ野球ニュース撮ろうと思ったんだけど、
ビデオあれどうやってセットするんだっけ?
わかんないんだよねー。」
車がエンストしてしまう。
「チッ。ったく。」
瀬名が車に歩み寄る。
「ギア・・」
助手席へ移動する南。
「・・・」
「道わかんない。」
瀬名が車に乗り込む。「・・・あげる。」最後のタバコを瀬名に差し出す南。
「だってもうラストじゃん。」
「いいの。」
「・・ありがと。」
瀬名に気を使い、窓の外を見つめる南。
「・・・良かったら。」瀬名が吸っていたタバコを南に渡す。
「ありがと。」南は微笑み、タバコを吸う。
失恋の悲しみを南は痛いほどわかっているので、
瀬名のことが放っておけなかったのでしょう。
いつもはハイテンションな南だけれど、
車の中では瀬名をそっとしておいてあげよう、という思いが
伝わってきました。
一つのタバコをわけあう二人。南の表情が色っぽい!
音楽教室
子供達のピアノを聞きながら、つい、ボーっとしてしまう瀬名。
大学
「結婚式のピアノ?」と佐々木教授。
「ええ。いや例えばなんですけど。」
「またどうして?」
「いや・・このままじゃいけないかなーと思って。
あの、僕・・・ちゃんとピアノで生きていこうと思っているんです。
このままだと、あそこでああやって、子供を教えて・・・
それで終わっちゃうような気がして・・・。」
「・・・瀬名君・・あなたはいつか、自分は誰かの為に、
ピアノを弾いたことがないってそう・・仰いましたよね。
それが今、プロになるために、人前でピアノを弾こうとしている。」
「変わりたいんですよ。」
「うん。
でもね、瀬名君。本当は・・・知人の誰かに、
もちろん、誰でも構わないんですが、
誰かの為に、あなたがピアノを弾きたいと思って、
それで弾いた時に、本当に変わっていくんじゃないかと、思うんです。」
瀬名のマンション
『蒼い珊瑚礁』を口ずさみながら髪を乾かす南。
呼び鈴が鳴る。
「はい?」
「速達です。」
「ご苦労様でーす。」
創文社出版からの手紙。
「誠に残念ながら・・・。
だったら速達で送んなよー。」
大学
瀬名と涼子が偶然出会う。
瀬名は笑顔で挨拶するが、涼子は表情を曇らせたまま会釈をし、
立ち去ってしまう。
映画館から出てきた南と杉崎。
「笑っちゃいましたね!
ビリヤードの試合で、マイケルがポールの方見るところ。」と南。
「あったっけな?」
「あったじゃないですか!
マイケルがポールの方を見ると、ポールがね、こういうサイン送ってるんですよ。
だって普段、こんな渋くキメてるポールなのに、
こーんなですよ、こーんな。」
「・・・」
「・・たいしたシーンじゃなかったですからね。」
「ところでさ、どこで飯食おう。」
「ね!」
テアトロン
「面白い店だね。」と杉崎。
「結構いい店でしょ?」と南。
「そうだ。
創文社出版、どうだった?この間二次面接受けにきてた。」
「あそ・・こね、まだ結果出てない。
でもね、ちょっと手ごたえあったかなー。」
「そう。」
「よ!」と真二。
「あのね、弟。」
「弟さんか。」と杉崎。
「ライブで会ってるんだ。」
「ああ!」
握手を交わす二人。
「今度はまあ・・」と真二。
「今度?」と杉崎。
「私、ストロベリーフローズンダイキリ!」
南はそう言いながら真二の足を踏みつける。
南をタクシーで送る杉崎。
マンション前
「今日はどうもありがとうございました。」
「あ・・南ちゃん、あの・・さ。
もし、なんだけど、良かったらうちの事務所来ない?
俺のアシスタントみたいなことやらないかなー。丁度人欲しいと思ってたんだ。」
「そんな・・アシスタントなんて・・
とんでもないです、私写真のこと全然わかんないですから。」
「大丈夫!すぐ慣れる。」
「いや・・じゃ・・とりあえず・・ちょっと、考えさせて下さい。」
「そう?
でもさ・・あの、嘘、つかないで。」
「嘘?」
「面接。」
「あ・・知ってたんですか・・。
いや、ほんと、ごめんなさい。ついカッコ悪くて。」
「でもカッコ悪くても、南ちゃんは南ちゃんでしょ?」
「・・・」
「最も俺は、たとえば南ちゃんが100社面接落ちても、
カッコ良くて、可愛いと思うけど。」
杉崎の言葉に照れる南。
コンビニ帰りの瀬名が二人に気付く。
「こんばんは。」と瀬名。
「こんばんはー。
・・・お隣さん。」と南。
「あ、お隣さん!」と杉崎。
「今日は本当に、どうもありがとう。」
「ううん。また誘っていいかな?」
「もちろん!」
「じゃあお休み。」
「おやすみなさい。」
瀬名のマンション
「ただいま。
・・・ただいま帰りまし・・」
瀬名はいない。
南は瀬名の部屋に杉崎と見てきた映画『恋する二人』のパンフレットを見つける。
屋上
瀬名を発見する南。
「ただいまー。」
「お帰り。
あ、お隣さんちゃんと、回覧板届けました?」
「・・はい。」
落ちていたバスケットボールで遊ぶ南。
「結構いい男でしょ。」
「カメラマンの杉崎さん?」
「あたり!」
「ねえ、」
「うん?」
「空にさ、」
「空?」
「空に星あるじゃん。」
「はい。」
「ああやってさ、星がキラキラ光って見えるのって、
周りに、暗い部分があるからでしょ?闇っていうか。」
「うーん、確かに昼間星って見えないもんね。」
「・・・星を輝かせるために存在する闇?
俺ってそんな感じかな。」
「・・・詩人だねー。
あたしさ、また面接、落っこちちゃって。」
「とめどないね。」
「23社目。」
「数えてんの?」
「悔しいからね、落っことしたとこ覚えといて、
そこの商品とか絶対買ってやらないんだー。」
「それ性格悪いよ。」瀬名が笑う。
「さっきさ、杉崎さんに、アシスタントに来ないかって言われたの。」
「すごいじゃん。」
「でも、写真のこととか全然わかんないし、
かといって・・何が出来んだ?
何かしたいんだけど、だけど何も出来ない。
そして31歳。」
「・・・」
南からボールを奪う瀬名。
「別に遅くないんじゃないの?」
「え?」
「また何か、新しいもの見つければいいじゃん。」
「新しいものって?」
「・・・俺写真って悪くないと思うんだよね。
昔撮られてたんだから嫌いじゃないでしょ?」
「・・まあね。」
「そこにいるうちに、何か見つかるんじゃないの?」
「うーん。
そうだね。何もしないより、何でもいいから
初めてみた方がいいのかもしんない。」
「・・・俺さ、結構出不精なんだけど、」
「デブ?」
「・・それ意味違うでしょ。
でもね、人からの誘いには結構、乗るんだ。
そうすると案外、いいことあったり。」
「瀬名君のいいことって何?」
「別にたいしたことじゃないけどね。
帰り道に、うーーん。綺麗な、夕焼けが見えたりとか。
そんぐらい。ヘヘ。
でも、家で寝てるよりかはマシでしょ?」
瀬名の言葉の微笑む南。
公園でバスケをして遊ぶ二人。
「あ!あれ!映画、見たの?恋する二人。」と南。
「何で?」
「いや、部屋にパンフレットあったから。」
「ああ。俺さ、」
「うん?」
「あの映画の中でさ、二人がやってたサイン、こういうの、
(鼻の下の髭をなでる仕草)」
「これ!?」と南。
「そうそうそう。すっげー可笑しかった。」
「アハハ!瀬名君、ずっと友達でいようね!」
「何気持ち悪い・・・。」
「たとえ恋人が出来たとしても、結婚したとしても、
あ、瀬名君結婚できないかもしれないか。
そしたら、老人ホームに訪ねていってあげるよ。」
「いいです。」
「そしたら、縁側でお茶しようぜ。」
「しようぜ?」
「ぜ!
で、例えば、もしうちのダンナが、もう死んじゃってて
その時いなくなっちゃってたら、
私、瀬名君と再婚してあげてもいいよー。
私が65だとしたらその時瀬名君は・・・59か。
もう年の差がどうっていう年でもないもんね。」
「嫌です。」
「何で?」
「俺59だったらね、55の女の子がいいね。」
「ロリコン!」
「ねえ、瀬名君にはピアノがあるじゃん。」
「え?」
「私ピアノのことよくわかんないけど、
瀬名君は将来、絶対星になって輝く人だと思う。
あ、死んじゃうってことじゃないよ。」
「・・わかるよ普通。」
「私はいいと思うな。瀬名君のピアノ。
絶対いいと思う。」
「あー、心広い。」
テアトロン
「うまそう!いただきます!」
るみ子の作った食事を食べる真二。
「真ちゃんやっぱりおかしい。」
「何が?」
「いつもだったら目玉焼き固くしちゃうと機嫌悪くなっちゃうじゃん。」
「・・・」
「最近変に優しいし。
それにエッチの回数減りました。」
「・・・」
「この間したのが、」手帳を開くルミ子。
「何だよこれ!」
「女できたの?」
「出来てません。」
「じゃあ結婚して。」
「・・・」
「結婚して!」
「・・マジ?」
「ハイ!」
音楽教室
子供達にピアノを聞かせる瀬名。
そこへ桃子がやって来る。
「今日どうしたんですか?」
「私ヒマでさー、やることないし。
先輩はお勤めしだしたしー。」
「ああ、あのカメラマンさんとこ。」
「ったく。いつの間にか、あーんないい男ゲットしててさ。」
「ゲットはまだしてないんじゃないんですか?」
「え?そうなの?」
「どういうことを差してゲットっていうのかよくわかんないけど。」
「そりゃああなた、肉体関係よ。」
「・・・まだでしょ。」
「そうっかなー。先輩あれで、結構ワーっとなると、パーっといっちゃうタイプ。」
「・・・」
スタジオ
杉崎のアシスタントをする南。
音楽教室
「してないよ。」と瀬名。
「してるでしょ!」
「してない、してない、まだ。」
「何で?」
「・・・」
「何でそんなムキになんの?」
「別に、ムキになんてなってないですよ。
あなた大体、何しに来たんですか?」
「フフ。ねえ、瀬名君。
佐々木先生の電話番号教えてくれない?」
「・・・何企んでんの?」
「べーつに。奥さんいなくて、一人で大変だろうなと思って。」
そこへ、倉田がやって来る。
「どうしたの?」と瀬名。
「いや、ちょっと涼子ちゃんのことでさ。」
「・・・」
「諸沢ショパンコンクールの実技、ぼろぼろだったみたいでさ。
最近学校も出てきてないんだよ。」
「どうしちゃったんだろうね、涼子ちゃんらしくなーい。」と桃子。
「あの・・あなた、誰ですか?」と倉田。
「桃ちゃんでーす。」
「・・だから一回瀬名が様子伺ってやったほうがいいと思ってさ。」
「そうだよ付き合ってんでしょ。」
「・・・関係ないからさ。」
「え?関係ないって?」と桃子。
「・・・フラれちゃったから。」
「どうして!?」
「他にね、好きな人が、出来たんだって。」
「好きな人って誰!?誰誰誰!?」
「あのー。初対面の人に向かって何なんですけど・・
あなた、かなり自分の趣味に突っ走ってますよね。」と倉田。
「・・・」
「だから、涼子ちゃんのことは俺に言われてもさ。」
帰り道。
瀬名は公衆電話から涼子の留守電にメッセージを入れる。
「瀬名です。
久しぶり。
この間は、あんな風になっちゃって、ホントごめん。
大人げなかったと思ってる。
もし・・・もし俺の事気にしてるんだったら、
ホント気にしなくていいから。
難しいかもしれないけど、前と同じように、
先輩と、後輩で、
うん。・・・それじゃあ。」
瀬名の留守電を聞いていた涼子はうつむき・・・。
涼子のマンションを訪れる桃子。
スタジオ
一人で片付けをする南。
「お疲れさん。」と杉崎。
「お疲れ様です!」
「腹・・減ったろ?」
「腹、減りましたね。」
「どっか、飯行かない?」
「杉崎さん、飯食いながら打ち合わせ。」スタッフに呼ばれる杉崎。
「あのね、」
「私、もうちょっとやっていきます。」と南。
「・・・ごめんな。
この埋め合わせ必ずするから。」
「お疲れ様でした!」
涼子のマンション
「涼子ちゃんってマジメだねー。」
「マジメ?」
「だってさ、アニマル真二と付き合いだしたのでもないのに、
瀬名のこと振っちゃったんでしょ。
瀬名だってカッコイイんだから、とりあえず瀬名と付き合っておけば
いいのにさ。」
「出来ないです。」
「そんなにアニマル真二のことが好きなんだー。」
「どうして・・好きになっても仕方ない人、好きになっちゃうんだろう。」
「・・・仕方なくないよ。」
「・・・」
「全然仕方なくないもん。
だって結婚しているわけでもないしさ。」
「私なんか、ダメです。」
「涼子ちゃん。人生、一回しかないんだよ。」
「・・・」
「どうして諦めちゃうの?ねえ何で諦めちゃうの?
涼子ちーーーん!」
帰り道、南は公衆電話から桃子に電話してみるが、
『はーい、桃子です。ただいま、桃子は森にお花を摘みに出かけています。
アッチョンブリケと言いましたら、メッセージをどうぞ。』
「アッチョンブリケ!!」
電話を切る南。
「いなくてもー、10円取られて悲しいなー。
ご飯食べる相手もいないー。
女はみんな結婚してる。
・・・」
瀬名のマンション
料理をする瀬名。
冷蔵庫にあるはずのキャベツがない。
そこへ、電話が鳴る。
「はいもしもし。」
「あ、もしもし、瀬名さんのお宅でしょうかー。」
「あ、ねえあなたキャベツに何かやった・」
「・・・ゲッ。所帯臭い第一声。」
「違う。ヤキソバ作ろうと思ったんだけどキャベツないんだよねー。」
「ごめん。朝千切りにして食べた。」
「それ俺のキャベツじゃんよー!」
「私のジャガイモあったよねー。」
「ジャガイモなんか普通やきそばに入れないでしょ。」
「入れるもんねー、私。
男のくせに細かいんだよー。
出てこない?」
「え?」
「萬金集合!」
「いや、あのさ、」
電話は切れてしまう。
「・・・」
萬金前で合流する南と瀬名。
店は定休日だった。
「お腹空いたー・・・。」
「普通休みだったら休みって電話ぐらいするじゃん。」
「だって萬金前集合って言っちゃったからさ。」
「キャベツの入ったヤキソバはどこですか?」
「ヤキソバぐらい奢るよー。
あそこのタイ風やきそば美味い!真二んとこの。」
「・・・」
「・・・何でもない。
ヤキソバねー。」
「いいよ。行こう。」
「・・・」
テアトロ
「いらっしゃい!」と真二。
「ったく、魚屋じゃないんだから。」と南。
「あ!お姉さんこの間の男と違うじゃん。やるねー。」と真二。
「うるさいよ。」
「こんにちは。」と瀬名。
「よっ。」
「とりあえず、ビール。
ビールでいいよね?」
「・・どう調子は?」と瀬名。
「うん?何の?」
「仕事の。」
「あー。でもね、失敗ばっかり。
今日も、カメラマンが、モデル褒めだすでしょ。
それってフィルムチェーンジって合図なのね。
それトチってばっかり。」
「大変なんだ。」
「でもね、何もしないより、いいみたい。」
「あの、何だっけ、カメラマンの、」
「杉崎さん?」
「上手くいってんの?」
「うん。いい人。」
「良かったじゃん。」
真二がビールを運んでくる。
「それでど?瀬名君。涼子ちゃんとは上手くいってる?」
「・・・」
「あ、メニュー見せて。何にしようか、ねー!」と南。
「おぉ!噂をすれば。」と真二。
桃子が涼子を連れてきたのだ。
「アニマル!涼子ちゃんあんたに話があるんだってー。」
「俺に?話って、何かなー?」
「いえ・・。いえ、何でも・・。」
「ダメだよ涼子ちゃん。はっきり言わなきゃ。
アニマルに会いたいが為に、その何とかってライブ、
何日も通ったんでしょー。」
「桃ちゃん!何考えてんの?」と南。
「何って何ですかー?」
「こんな所に涼子ちゃん連れてきて。」
「だって好きだって言うから、好きなら好きって本人に言えばいいじゃないですか。」
「時と場所を考えれば!?ここには・・瀬名君いるんだよ!」
「瀬名がいたって好きなものは好きでしょ!」
「シッ、シーッ!!
好きだったら何したっていいって言うの?
人の気持ちとか考えれば!?」
「好きなもんは、好きなんです!!
好きって気持ちは止められないから、世界で一番偉いんです!
いっちばーん!」
「なーにをぉぉ!!
森で花でも摘んでろ!
そんなこと言ってるから不倫ばかりするんだよーっ。」
「そんなこと言ってるから先輩は、売れ残るんです!」
「売れ残って悪いか?頭の中ピンクのゾウ!」
「フンッ!次のゴジラの対戦相手のくせに!!」
掴みあう桃子と南。見かねて二人を止めようとする瀬名。
「やめて下さい!!」涼子が大声で叫ぶ。
「・・・」
「・・・すみません。
お邪魔しました。」
涼子が店を飛び出していく。
「熱いねー。」と真二。
「ちょっと来いよ。」瀬名が真二の腕を引っ張る。
「え?どうしたの?」
「いや・・。頼むから来てくれよ。早く!」
涼子を追いかける瀬名。瀬名を追いかける真二。
瀬名が涼子に追いつく。
「足・・速いよ・・。」咳き込む瀬名と真二。
「・・・」
「ちょっと待って。」
瀬名は真二を涼子の前に連れていく。
「話・・・話聞いてやってくれ。」
「・・・」
「な。」
「・・・」
「・・・あ、俺か。
そうだよね。
ごめん、俺が邪魔なんだよね。
ごめん。」
二人を残してその場を去る瀬名。
瀬名が店に戻ろうとすると、南が待っていた。
「・・・」
「・・・」
販売機に気付き、飲み物を買おうとする瀬名だったが小銭を落としてしまう。
「だっせ。」
南が代わりに小銭を入れる。
「・・・どれ?」と瀬名。
「星屑を天使の涙で割ったカクテルー。」
「・・・そんなのないよ。
・・オレンジでいい?」
「みかんがいい。」
「・・・」少し微笑む瀬名。
涼子と話をする真二。
「涼子ちゃん、あの・・俺に会いにライブ来たって・・・
ホント?」
「あの日・・・真二さんが送ってくれたあの日・・・
忘れようと思ってたのに・・・。
忘れようと思ってたのに、次の日になったらもっと会いたくなって、
その次の日になったらもっともっと会いたくなって・・・
段々忘れるはずが・・どんどん会いたくなって・・。
それで・・・。」
「・・ごめん。」
「ごめんなんて言わないで。
わかってるから・・・ごめんなんて言わないで下さい。」
「・・・」
立ち去ろうとする涼子の手を掴む真二。
「・・・そうじゃなくて。」
真二が涼子を抱き寄せる。
「そうじゃなくてさ・・。
・・・会いにいけなくて・・・ごめん。」
「・・・」
自動販売機の前
「帰ろっか。」と南。
「・・・」南と反対方向に歩き出す瀬名。
「駅こっちだよ。」と南。
「・・・歩いて帰る。」
南は少し距離を保ちながら、瀬名の後を付いていく。
やがて二人は並んで歩き、いつしか競争に。
防波堤に腰掛ける二人。
「夜の空気がもう夏だねー。
海でもいきたいなー。」
「うん。あ、いいね。」
「瀬名くんは人がいいね。」
「そうですか?」
「空は青いし、海は広いし、瀬名くんは、人がいい。」
「なんだ、それ。」
「そういう感じがするってことよ。
未来永劫、人がいい。」
「褒められているように思えないんですけど。」
笑い合う二人。
「瀬名くんみたいな人とずっと一緒にいられたら、
それはそれで、幸せなんだろうなー。」
「それはそれでって何?」
「ふっ。なんだろ。」
二人はまた笑い合う。
「・・・ねえ。」と瀬名。
「うん?」
「・・・キスしよっか。」
「・・・いいよー。」
二人は見つめあい、軽くチュっとキスを交わす。
目を閉じたまま微笑む南。
二人はもう一度、今度は長いキス。
おでこをくっつけあい、微笑みあう。
南の背中に顔をうずめる瀬名。
「久しぶりのキスだったな。」と南。
「しばらくこうしてていい?」
「うん。いいよー。」
大好きな涼子ちゃんを真二に託した瀬名。
なかなか出来ることじゃないですよね・・。
そんな瀬名の優しさ、心の痛みを感じ取る南。
付かず離れず、後ろを歩いていく南に、彼女の温かさを感じました。
いつの間にか競争になってるとこも微笑ましい。
そして、このラブシーンはやっぱり最高!
今見ても全然色褪せてないですね。
何度でも見たくなる。
瀬名を穏やかに包み込む南が綺麗で、
南に甘える瀬名が可愛い。
見ていて幸せな気持ちになりました。^^
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瀬名秀俊・・・木村拓哉
葉山南・・・山口智子
葉山真二・・・竹野内豊
奥沢涼子・・・松たか子
小石川桃子・・・稲森いずみ
氷室ルミ子・・・りょう
斉藤貴子・・・広末涼子
杉崎哲也・・・豊原功補
斉藤哲也・・・小林すすむ
佐々木教授・・・森本レオ
椎名いづみ・・・建みさと
小田島和久・・・津嘉山正種
【スタッフ】
脚本:北川悦吏子
音楽:CAGNET
演出:永山耕三、鈴木雅之、臼井裕詞
プロデュース:亀山千広、杉尾敦弘
演出補:谷川功
プロデュース補:谷古浩子
制作補:東海林秀文
制作主任:由利芳伸
制作進行:山内君洋、片山俊哉
広報:上野陽一
協力:バスク、渋谷ビデオスタジオ、ジャンプ、高橋レーシング、K&L、中川プロスパー
制作著作:フジテレビ
木村拓哉さんの主な出演作品
山口智子さんの主な出演作品